2023年6月17~18日に開催された第5回日本メディカルAI学会(@日本橋)に参加しました。
人工知能学会や言語処理学会と比較すると、日本メディカルAI学会は病院の先生方などの方も参加されることも多く、実務の応用シーンについての議論が深まっている点が好印象です。
医療AIについての傾向は大きく変わらず、読影を目的とした画像認識によるアプローチが多かったです。
その一方で、ChatGPTの出現に合わせてLLMに関する議論も始まりつつある状況が確認できました。
研究発表以外のご講演についても勉強になるものが多く、個人情報保護法の特例法という位置付けである次世代医療基盤法を踏まえて電子カルテの扱いがどのように変化していくのか、またどのような認定を国から受ける必要があるのかといった要件についても整理されていました。
また別の発表でも電カルの横断的な連携についてはSIPにて構想があり、正規化のためにデータをコピーした後にFL7 FHIR準拠に書き換えるといったプロトコルに関わる発表もありました。
他にもプログラム医療機器における薬事規制において、3つの区分があり、またそれぞれに適した審査依頼にどのようなものがあるのか整理されていました。
それだけでなく申請の具体例をベースに、審査の立場からどのような反論が頭に思い浮かぶのかを赤裸々にご説明いただいた点は企業の方にとってはとても有益な情報だったのではないでしょうか。
以下の医療機器プログラムのガイドラインで確認することができるとのことでした。
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン(令和5年3月31日一部改正)
https://www.pmda.go.jp/files/000240233.pdf
各種申請やお問い合わせの窓口は以下のSaMDになります。
https://www.pmda.go.jp/review-services/f2f-pre/strategies/0011.html
ChatGPTを筆頭に生成モデルを活用した取り組みも少しずつ増え始めています。
医師国家試験でのChatGPTの能力を検証するものや腎臓に関する知識を備えているかという、応用というよりもChatGPT自体の能力を把握するための取り組みが多い傾向でした。
また、やや個人的な報告になりますが、私が所属する㈱サイシキも共著者で以下のポスター発表を行っておりました(主にモデル構築などのエンジニアリングをご提供し、その中でChatGPTを活用したデータ拡張を行っています)。
診療記録を用いた自然言語処理による患者QOL測定方法の検証
新村和久(株式会社ユカリア)
筆頭著者と私で分担してご回答したにもかかわらず、質疑応答のコアタイムを超過するほどご訪問いただくほどのご盛況をいただきました。
電子カルテの取り扱いや自然言語処理によるアプローチに興味を持たれる方も多く、深い議論ができた点が幸いでした。
今後も医療AIについてウォッチしたものをAIReviewにてご紹介させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。