主要銀行は生成AIの使い方を慎重に模索

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CNBCは、主要な銀行やフィンテック企業による生成系AIへの関心が高まる一方で、活用方法は模索中であることについて報道しています。

顧客対応へのChatGPT応用には消極的

オランダのABN Amroなどの銀行は、顧客との会話を自動的に要約するために生成型AIの活用を試みていますが、ING BankやBBVAなどの企業は、顧客対応におけるChatGPTの活用には消極的で、内部プロセスの効率化やコード改善などに焦点を当てているとのことです。

また、ゴールドマン・サックスもコードの開発に内部活用していることのみ名言しています。
それだけではなく、Louisaというスタートアップの起業家と専門家をマッチングするプラットフォームを運用していることもあり、新たな活用方法に注目されます。

顧客対応の自動化に消極的な理由

大量のデータが必要な生成型AIは、データプライバシーの問題や規制に影響してしまうため、顧客情報を含むシステムには「リスクが高い」とされます。
その一方で金融機関は、AIが人間の労働を効率化しコスト削減に貢献できると期待しており、銀行やフィンテック企業として研究開発が進められています。

【アナリストによる分析】

どのような国でも金融に関連する法律によって、個人情報の保護だけではなく、規約への同意を代表とした提供する金融サービスへの説明責任が求められることから、金融分野の人と接するAIには高いパフォーマンスが求められます。
上記の観点から顧客対応の自動化は難しいでしょうが、ユーザの満足度調査や窓口担当者のパフォーマンスを調査するためのデータ処理は有効な可能性が高いです。

その一方でシステム開発への活用は積極的であり、92%のプログラマーが開発に生成AIを使っているとの調査結果も先日あったように、業界を問わずにプログラミングのco-pilot(副操縦士)としてのAIは活用の幅が広いです。

【参考文献】

https://www.cnbc.com/2023/06/13/banks-are-talking-up-ai-amid-chatgpt-buzz-but-keeping-its-use-limited.html

https://www.goldmansachs.com/about-us/culture-of-innovation/gs-accelerate/case-studies/louisa/

https://www.zdnet.com/article/github-developer-survey-finds-92-of-programmers-using-ai-tools/

この記事を書いた人
自然言語処理AIを専門とした技術コンサルサービスを提供しています。
医療、法律、金融分野におけるクライアント様の新規事業の創出を手掛けてきた経験から執筆を行います。

【所属】
株式会社サイシキ
言語処理学会(正会員)
人工知能学会(正会員)
日本メディカルAI学会(正会員)
早稲田大学人間科学学術院 招聘研究員